コラム

【コロリの草花だより】
vol.47 クリスマスツリーと正月の松飾り

「コロリの草花だより」第47回は、クリスマスツリーと正月の松飾りにまつわる話です。


パリ・ノートルダム寺院前のクリスマスツリー 2010年12月
この冬パリでは雪の日が多かった。


クリスマスと言えば大きなツリーを立てるのが定番だったが、最近ではLEDイルミネーションやCG映像のプロジェクションマッピングに人気を奪われつつあるようだ。夜の華やかさでは光ものに完敗だが、冬になっても深い緑の葉が茂るツリーには、強い木の香りと生命力が漂う。その歴史を辿ると、北欧の冬至の祭りに使った樫の木がルーツらしい。その後、キリスト教の布教とともにモミやトウヒなど、その土地に固有の針葉樹をクリスマスに飾るようになったそうだ。

パリ・ノートルダム寺院前の石畳の広場には、12月になるとある日突然巨大なモミの木が出現する。フランス南東部の有名な樅の木の産地、ディジョン近くのソリュー村で切り出した20メートル程もある木を、どうやってパリのシテ島まで運び、どんな仕掛けで石畳の広場の上に立てるのか不思議だ。モミの木は今年も立っているのだろうか。

パリの花屋やノエルの市場には、この季節になると大人の背丈ほどのツリーが並ぶ。家庭で大量のツリー需要が発生するので、モミの木の幼木は専用の畑で栽培するらしい。日本の正月用の松を海沿いの砂地で栽培するのと同じだ。森林環境破壊にはならないものの、使用済みの木が一斉に廃棄されるのでゴミ処理問題が深刻らしい。その点、日本では小正月になると松飾りなどを焚き上げるどんど焼きがあるから、エコな行事の先駆けかも。



プロフィール:田中晃二


通称コロリ。1947年長崎生まれ。教科書のデザインや女性誌『クロワッサン』のアートディレクションなどに関わる。2009年から2年間AZパリ支局に赴任。東北の渓流でイワナ釣り、里山や街の植物観察、旅行や俳句などが趣味。



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