コラム

【花をめぐるパリ手帖】
vol.01 パリに春を運ぶ花

散策の合間に何軒も目にするほど、たくさんのフラワーショップであふれているパリ。暮らしの中にごく当たり前のように花が根付いているその文化を、パリの人々や生活などを通して、花留学中のライターが現地からお届けする新コラムです。第一回はパリに春を告げる花、ミモザの話です。



枯れ木立も美しく、ぴんと澄んだ空気が心地よいパリの冬ですが、くもり空の日がつづく中で、だんだん青空に太陽の光が差す日が多くなってくると、パリの人々は大喜び。長い冬があけて、春が訪れるのを楽しみにしています。

パリ、シテ島の花市場のミモザ

日本では、梅の花のほころびが春の訪れを知らせ、その後に花開く桜が盛春の象徴になっています。桜を見上げるたびに、今年も春がやってきたなと感じる方も多いのではないでしょうか。フランスにも、そんな春の知らせを人々に伝える花があります。それがミモザなのです。ミモザは2月から3月にかけて旬をむかえます。花市場や街中のフラワーショップなどでミモザを見かけるようになると、人々は冬の終わりと春の始まりを感じるのです。またミモザは、3月8日の「国際女性の日」を象徴する花として定められています。この日はミモザの日ともいわれていて、男性から女性へミモザを贈る習慣もあるそうです。

日本人の桜好きほどではないかもしれませんが、春の訪れを祝ってフランスではミモザのお祭りが開かれます。南仏のコート・ダジュール地方には、La Route du Mimosa(ミモザ街道)と呼ばれる長さ130キロメートルにわたる道がのびています。ミモザの生産地がその街道沿いのあちらこちらにあり、各地で「La fête du mimosa(ミモザ祭り)」が開催されるのです。特に有名なのがMandelieu- La Napoule(モンドリュー・ラ・ナプール)という街で、街から近いMassif du Tanneron(タヌロン山)は国内屈指のミモザの生産地です。この街で開催されるミモザ祭りには、フランス各地から多くの人が押しかけてくるのだとか。

街からタヌロン山へつづく県道92号線を歩いていくと、ミモザの黄色が山間を彩っています。そして、上ってきた道を振り返ると、眼下には海とミモザが織りなす絶景が広がります。

ミモザ祭りのポスター


ミモザと海


ドライミモザのプチブーケ


長く楽しめるミモザのリース

そのやさしい色とふわふわとした花が特長のミモザは、いろいろな楽しみ方があるところも魅力のひとつです。ドライになってもかわいらしいので、ほかの花がしおれてしまっても、ミモザだけ残してプチブーケに組み直し、長く楽しむこともできます。
パリの店先には、リースになったミモザも売られています。部屋に飾れば、雰囲気がぱっと明るくなりそうです。

外の寒さはまだすこしの間つづくけれど、あたたかな日差しを連想させるミモザの花を部屋に飾って、人々は春のうららかな陽気を一足早く楽しんでいるのです。



プロフィール:守屋百合香


ライター。1986年東京生まれ。上智大学文学部フランス文学科卒業後、三度にわたるパリ短期花留学、RAFFINEE les fleurs 金山幸恵氏のもとでの花修業を経て、2014年からパリで留学中。Rosebud fleuristesにて研修。「花とともにある、詩情豊かな暮らし」を提案するべく活動している。ブログ「ぽん、ぽん、ぐー。


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