vol.01 豊かな時を、こころで刻むBob Foundation

レポート

vol.01 豊かな時を、こころで刻む
Bob Foundation

時が経つにつれて忘れていってしまう大切な気持ちを贈りものにのせて、こころに残る思い出に変えていきましょう。贈る気持ちを演出するのにかかせないラッピングペーパーやカードのデザインを手がけるBob Foundationのアトリエを訪ねました。

vol.01 豊かな時を、こころで刻むBob Foundation

Profile

Bob Foundation(ボブファンデーション)

ロンドンの美術学校で出会った朝倉充展(あさくら みつのり)・洋美(ひろみ)によるクリエイティブグループ。 デザイン、アートディレクションを中心に活動。独自のペーパーブランド「Number62」も手がける。
http://www.bobfoundation.com

「 Number 62」をはじめたきっかけ

2005年「包もう!」がテーマの「WRAP IT!」展を開催。

「もともとラッピングペーパーなどを小規模でつくってはいたのですが、2005年に『WRAP IT!』という何でも包んでしまおうというイベントをやったんです。それがすごく楽しかったんですよね。」と洋美さん。手紙にまつわる経験もまたヒントに。洋美さんのお母さんは大の旅行好き。「世界各地からポストカードが届くこともあって、それがとてもうれしいんです。」以前は彼女自身も必ず旅先からご両親にポストカードを送り、時には自分宛に書くこともあったという。空間、そして時間という距離をフィジカルに旅をする葉書のような"紙"には、思い出や気持ちを定着させる力があるのかもしれない。そしてその力に魅せられる人がたくさんいると感じたのは、自分たちのコレクションを商品として発売した時のことだった。「彼女(洋美さん)はレター用紙や封筒が大好きで集めていたんです 。外国の封筒の裏地のデザインってとても凝っていたりして面白いんですよね。そういったものを袋につめて売ってみたら、とても評判がよかったんです。それを自分たちがつくったものでやりたいと思いましたね。」と充展さん。

Bob Foundationが手がける作品には、どこか楽しさとぬくもりがある。

花を贈るということ

ロンドンの美術学校に通っていたこともあり、男性が女性に花を贈る文化に触れることも多かったふたりだが、充展さんはそれ以前にも実践をしていたという。「 日本では男性だと花を買うのに勇気が必要ですよね。 10代の頃、花を買う男性ってかっこいいなと思っていたんです。何か買うタイミングがないかなと思っていたときに 、両親の結婚記念日があり、おこづかいを持って花屋さんに行ったんです。 お花屋さんに、えらいね、と褒められたのをよく覚えています。」イラストレーションも多く手がけるBob Foundationの作品には、時おり草花も登場する。「草花って身近で、いい意味での簡単さがありますよね。だれもが好感を持つものだし、描いていて気持ちよいものです。」と洋美さん。

     

自分たちの手で改装したアトリエは、カラフルな壁が特徴的。

           

           

ラッピングペーパーやカードを販売するミニショップも併設されている。

     

贈る気持ちに、アイデアのスパイスを

世界中の友人から送られてきた手書きのカード。
撮影:Mitsunori Asakura

充展さんが教えてくれた彼ら自身の贈りもののエピソードは、クリエイターカップルらしい、とびきりのアイデアに満ちたものだ。「何回かお互いに"しかけ"をつくってプレゼントを渡す、ということをやっていたんです。その中でも特に印象的だったのは"○○にいきなさい"という指示が書かれた手紙でした。その先にいくと、海外の友達の手書きによるまた別の指示がある、"上を見なさい"という風に。世界中の友達からの直筆のカードが指示でどんどんつながっていくんです。仲のよい友達の筆跡は一目でわかるので驚いて。進んでいくうちに、今度は家を飛び出して、近所のコンビニの店長さんからも指示を渡されたり。最後は家のリビングで両親がプレゼントを出して待っていました。」しかけ人はもちろん洋美さん。「実は準備は2ヶ月前から。ストーリーをつくり、友達に手書きのカードを送ってくれるように頼んでおいたんです。」予想外の展開に、カードをたどっていくその場ではうれしさよりも驚きのほうが勝ってしまったという充展さんだが、普段なかなか会えない世界中の友達が手書き文字で、一つ一つ扉を開けるように現れるこのしかけは、グリーティングカードをバーチャルなパーティーへと変えてしまう素敵なアイデア。「Number 62」のカードやラッピングペーパーも、贈り手のさまざまな思いをのせて人々をつないでいる。ワクワクさせるBob Foundationの世界の秘密は、贈ることを純粋に楽しむ朝倉夫妻の生活そのものにあるのかもしれない。

インタビュー・テキスト:藤岡 紀子 撮影:sai  「草冠通信」08号(2013-2014 winter)掲載

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