vol.03 生命の樹、つながる想い【前編】

レポート

vol.03 生命の樹、つながる想い【前編】

木から葉、実に至るまで、あますことなく私たちに恵みを与えてくれるオリーブ。日本有数の生産地で知られる香川県の小豆島では、島の人々はどんな想いを抱きながらオリーブとともに暮らしを営んでいるのでしょうか。2回に分けてレポートします。まずは、個性の異なる2つの農園を訪ねました。


瀬戸内海に浮かぶ小豆島を歩くと、至るところでシルバーグリーンに輝くオリーブ畑を見かけます。この島にオリーブがもたらされたのは今から100年ほど前。三重県、香川県(小豆島)、鹿児島県で試験栽培したところ、瀬戸内海の温暖な気候に恵まれた小豆島でのみ根づきました。以来、日本有数のオリーブ生産地として知られています。

人間の都合じゃなくて、木のために何ができるか

夏のオリーブ畑は、エネルギーに満ちています。瀬戸内の明るい太陽に向かって、のびのびと枝葉を伸ばすオリーブたち。そんな畑をていねいに見まわる人がいます。小豆島ヘルシーランドの内海淳彦さんです。

日射しを受けてシルバーグリーンに輝くオリーブ畑

−−−畑を見まわりながら、何を見てるんですか?

何をすべきかは、木が教えてくれるんですよ。例えば、傷んだ葉っぱは黄色く落葉して、いち早く役目を終えていく。ちゃんと他の枝に栄養を渡してね。枝が下を向くと湿気がこもりやすくなるので、剪定で風通しを良くしてやるとか。木の様子を見ながら、環境を整えてあげるのが僕たちの仕事です。


−−−夏は農園にとってどんな時期ですか。

草抜き地獄ですね(笑)。雨が降る度にぽんぽん伸びるから。草があると、オリーブが根っこを張れなくなるんです。オリーブの根って伸びながら水を吸うんですよ。だから地表から15センチが最も大事な場所。他の草に邪魔されて根が伸びないと、栄養も十分取り込めなくなるから。

−−−家庭でオリーブを育てるコツはありますか?

なるべく置く場所を固定してあげることですね。植物は自分でベストポジションをつくっていくので、日当りがいいからと場所を変えると、その度に何週間もかけてまた直していくわけですね。人間が良かれと思ってしたことが、じつは植物にとってはストレス。土と日当たりと水、すべてのバランスの中で木は育ちますから。

2011年に小豆島ヘルシーランドの農園「オリーヴの森」へ
スペインから運ばれてきた樹齢1,000年を超えるオリーブ。
※見学は小豆島ヘルシーランドに要問合せ

自然を知るには、徹底的に向き合うこと


有機栽培でオリーブを育てる山田典章さんの畑は、他の畑と少し違います。ふかふかの下草がまるで緑のじゅうたんのよう。実は、オリーブ栽培で日本初の有機JASに認定された畑なんです。

−−−下草を生やしているのはどうしてですか?

普通は虫が集まるから草を生やさないけど、うちは薬を使わないから、逆に芝を生やすことで他の雑草を防ぎ、天敵に害虫を食べてもらうんですよ。それでも防げないのが、オリーブを根ごと枯らしてしまうオリーブアナアキゾウムシ。生態についてほとんど文献がないので、毎年200匹くらい飼って、徹底的に観察したんですよ。

ふかふかの草の下から、長い時間をかけてつくられた土がのぞく


アナアキゾウムシは根本に卵を生むので、毎朝チェック


−−−徹底的に自然と向き合うと、どんな変化がありましたか。

ゾウムシが動き出す時間帯や湿度など、生態を観察する中で、だんだん防ぐ方法が分かってきたんです。1本の木を有機栽培で育てるのは誰でもできる。それが30本、100本、300本できるかが、専業農家としての分かれどころ。本当に大切なのは有機かどうかよりも、土がちゃんとつくれるかどうかなんですね。例えば、刈った下草はたい肥にしてまた土にもどす。土づくりは大変だと言われてきたけど、ここまでくるのにやっぱり4〜5年かかりました。


夏にぐんぐん成長したオリーブはやがて実をならし、晩秋に収穫されます。四季を通して、オリーブと対話しながら育てている内海さんと山田さん。我が子のように大切に思う気持ちが伝わってきました。
後半でも引き続き、オリーブの恵みを活かして暮らす方々をご紹介します。

後編「vol.04 生命の樹、つながる想い【後編】」はこちら



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2015年秋搾り/エキストラバージンオリーブオイル[ミッション種]



取材協力:
小豆島ヘルシーランド株式会社
tel:0879-62-7111
Website:http://www.healthyolive.com/

山田オリーブ園
tel:0879-82-5126
Website:http://organic-olive.jp/

聞き手・テキスト:「せとうち暮らし」編集長 小西智都子  撮影:水野聖二

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